七尾旅人

03/05 at 三軒茶屋Grapufruit-Moon
アコギの弾き語りで行われたこの日のタイトルは、「歌の事故」。
旅人さんのアコギに対するビターな思い(七尾blogを読んでみて下さい)が、
この企画を生む。
ただ、実際に事故ならぬ事件が起こってしまう。
キャパ100人程度のハコに詰め掛けたお客さんの数は、
なんと200人以上。
スタッフはパニック、パニック、パニック
誰ってが一番パニック
入れなかったお客さんからは文句の嵐。
お金もらってないのにひたすら謝る、
最終的には皆さんに詰めに詰めてもらって、150人近い集客。
ごいす
だって、まともなプロモーションは彼のブログのみ。
改めて、旅人さんが今いる位置を再確認し、
ちっぽけな俺は、ただひれ伏す。



しかし、ライヴが始まって俺はさらにひれ伏す。
声が、言葉が、メロディが、そして、「うた」が、あまりに別格すぎる。
単純に分類化できない存在感。
圧倒的なまでのユルさ(お客さんにはある意味タイトな空間でしたが…)。
小さく呟くように、口から零れ落ちる言葉。
吐き出される感情。
時折顔を覗かせる悲しみ。
全てを包み込もうとする愛情。



今の旅人さんは本当に特異なポジションに位置している。
デビュー当時からそうだけど、
所謂シンガーソングライターとは明らかに一線を画していて、
でも、アコギがやけに似合う。
おそらく彼のファンの多くが、
こうしたスタイルでのライブを待ち望んでいたはず。
近年の隠居めいた活動と相俟って、高まりきったそんな期待を
彼はあまりにさらりとかわしてしまうんですよ。
大御所っぽく勿体ぶったり、スター然としたオーラは全くなし。
だって、1時間半も時間おして、やっと登場したと思ったら、
「おしっこ行ってくるからちょっと待ってて」、だからね。
ライヴ中も個別にお客さんと喋り捲ってるし。
音楽はもとより、そうした前例を見ない活動や表現のスタイルが、
今の彼を特異なポジションへと導いたんだと、この日は実感しました。



いや〜、それにしてもユルかった。
「最後の曲です」って言ってから、5曲ぐらいやったからね。
「ヒタ・リー」はやらなかったけど、
個人的には新しい音楽の楽しみ方を発見できた一夜でした(←完全にファン)。
連日しんどくても、
こういう日があるから俺、生きてんだろうな。



今日の1曲:七尾旅人/月の輪